Xypex Press

  • トップページ
  • Xypex Press
  • 【第1回】コンクリート防水は1つじゃない|「躯体防水」と「メンブレン」|建物の長寿命化を支える2大アプローチ

【第1回】コンクリート防水は1つじゃない|「躯体防水」と「メンブレン」|建物の長寿命化を支える2大アプローチ

【第1回】コンクリート防水は1つじゃない|「躯体防水」と「メンブレン」|建物の長寿命化を支える2大アプローチ

初回のコラムは、まず私たち専門業者が いの一番に学んだこと、コンクリート防水方法の大きな2つの考え方「躯体防水」と「メンブレン防水」についてです。
プロの方にはお馴染みの内容ですが、ご自宅の防水をお考えの方から建築・土木に初めて携わる方、知識としてご興味のある方、色々な方に読んでもらえたら嬉しいです。

コンクリートに防水が必要な理由

コンクリートは一見強固に見えても、その内部構造には防水対策が不可欠な脆弱性が潜んでいます。

コンクリートの構造的特性

コンクリートはその製造過程でスポンジのようにとても小さな空隙ができるという特性を持っています。そして、まさにスポンジが水を吸い上げるのと同じ、「毛細管現象」つまり、スポンジのような多孔体や細い管を伝って水を吸い上げる現象です。

【水の浸入経路の例】

  • 空隙:セメント硬化時に形成される無数の微細な隙間
  • ひび割れ(クラック):乾燥収縮や温度変化、外力により発生
  • 打継目:コンクリート打設の継ぎ目部分

コンクリートは優れた構造材料ですが、固まるときも、その継ぎ目にも、固まった後の温度湿度変化でも水が浸入する可能性を抱えているのです。
幅0.2mm程度の微細なクラックでも水の浸入経路となるため、適切な防水対策が必要です。

漏水がもたらす深刻なリスク

構造躯体の劣化 水分がコンクリート内部に浸透すると中性化が進行します。コンクリート中の鉄筋は強アルカリ環境で不動態化していますが、中性化でpHが低下すると不動態皮膜が破壊され、水と酸素の存在下で腐食が進行します。鉄筋の錆びは膨張圧を生じ、コンクリートの剥離や崩落につながります。
内部空間への被害 地下室や地下駐車場での漏水は、設備機器の故障や保管物の損傷といった二次被害も招きます。
衛生環境の悪化 継続的な湿気はカビや藻の発生原因となり、特に住居やオフィスビルでは健康被害にも直結します。
 ✓ポイント

コンクリートの空隙とクラックは防水対策を怠れば必ず漏水の原因となります。建物を長寿命化するために、設計段階から適切な防水計画をぜひ組み込んでください!
参考:『コンクリート構造物の品質確保・向上の手引き(案)』|国土交通省 中国地方整備局

コンクリート防水の主要な2つのアプローチ

コンクリート構造物の防水対策は、躯体防水とメンブレン防水という根本的に異なる考え方に大別されます。

躯体防水の考え方

コンクリート自体に防水機能を持たせるアプローチです。混和材(剤)をコンクリート打設時に添加したり、完成したコンクリート表面に改質材を塗布することで、構造体そのものを防水層化します。
「構造体=防水層」という一体性が特徴で、複雑な形状の構造物にも対応可能です。ただし、部位や暴露条件(コンクリートが外部から受ける影響の厳しさ)によっては保護層・仕上げ層が必要となる場合があります。
例:外部暴露や機械的損傷が想定される部位等

メンブレン防水の考え方

コンクリート表面に防水層を形成するアプローチです。シート状の防水材や塗膜材を施工し、水の浸入を防ぐ「蓋」や「覆い」としての防水層を作ります。
多様な材料と工法が存在し、それぞれ施工性や耐久性が異なります。日本の建築現場では長年の実績があり、保証期間が明確で施工管理がしやすい特徴があります。

✓ポイント

躯体防水は「構造体自体の防水化」、メンブレン防水は「表面の防水層形成」という根本的な違いがあり、この考え方の違いが性能特性や適用箇所の違いに直結します。

躯体防水とメンブレン防水の違いを徹底比較

両工法は単なる材料の違いではなく、防水に対する根本的な考え方が異なります。

防水の目的と考え方の違い

躯体防水は、コンクリート構造物そのものの止水性を高めることを目的とし、空隙を結晶化や緻密化によって塞ぎます。メンブレン防水は、水の浸入を表面で防ぐバリアを作り、外部からの水を防水層で遮断します。

メリット・デメリット比較

※表は左右にスクロールして確認することができます。

比較項目 躯体防水 メンブレン防水
耐久性 高い(ひび割れ幅の管理・環境条件・施工品質に依存) 期待耐用期間は材料・仕様・立地・維持管理で変動
メンテナンス 低頻度(ただし漏水リスクはゼロ保証ではなく、止水・補修の計画余地を残す) 定期的な点検・補修が必要
施工の容易性 専門的な知識と管理が必要 比較的管理しやすい
施工不良の発見 発見が困難 比較的発見しやすい
複雑形状への対応 優れている 工法により制限がある
保護層の必要性 条件により必要 多くの場合必要
後施工・補修 困難な場合が多い 比較的容易
初期コスト 高めの場合がある 工法により幅がある
ライフサイクルコスト 低い(メンテナンス低頻度) 高い(定期更新が必要)

躯体防水は高い耐久性と低頻度のメンテナンスが強みですが、施工品質管理が極めて重要で、不良の発見が困難というリスクがあります。
メンブレン防水は施工管理の容易性と明確な保証期間が魅力で、経年劣化後のメンテナンス計画が立てやすい特徴があります。期待耐用期間は材料・仕様・立地・維持管理で大きく幅が出るため、設計時に保証年数を明記する必要があります。

適した用途の違い

躯体防水が適する場合 - 地下擁壁、地下ピット、地下駐車場など、内部からの施工やメンテナンスが困難な構造物(地下外防水は後施工が困難なため、掘削・止水・保護・納まりを含む事前計画が前提となります) - 水槽、プール、調整池など、常時水と接する構造物 - トンネル、地下鉄駅など、大規模で長期耐久性が求められるインフラ - 複雑な形状を持つコンクリート構造物
メンブレン防水が適する場合 - 屋上、屋根など、施工後もアクセスが容易な場所 - バルコニー、ベランダなど、比較的小規模な露出箇所 - 既設建物の改修工事 - 定期的なメンテナンス計画が確立している建物

 ✓ポイント

一般的には躯体防水は施工後のアクセスが困難な場所や長期耐久性が求められる箇所に適し、メンブレン防水は定期的なメンテナンスが可能な露出部分に適しているといわれています。プロジェクトの性質と建物のライフサイクル全体を見据えて選択してください
参考:建築工事標準仕様書・同解説 JASS 8 防水工事(2022年版)|日本建築学会

主要な防水工法の種類と特徴

具体的な工法になると、さらに細かな選択肢があります。

躯体防水の具体的工法

混和材工法

コンクリート打設時に混和材等を混ぜて添加し、コンクリートの緻密化や水密性の向上を図ることで、構造体と防水機能を一体化させることを最大の目標とした工法です。
主な特徴: - コンクリートと一体化するため剥離の心配がない - 自己治癒機能を持つ(主に微細ひび割れ域で、水分供給・温度・材齢などの条件に依存) - 既設・新設を問わず施工可能な製品もあり、幅広い現場で採用されています。
大別するとザイペックスもここちらに入ります。
制御限界(許容ひび幅等)の設計・施工管理は不可欠で、補修不要を保証するものではありません。

表面含浸工法

完成したコンクリート表面に含浸材を塗布し、表層部分を緻密化する工法です。適用留意事項は北海道開発局「道路設計要領」や土木研究所の資料等で整理されています。
主な特徴: -施工が比較的簡易で、躯体を傷めずに防水性能を付与 - 既設構造物の防水性向上や耐久性向上を目的として採用 - ひび割れが大きい場合や漏水発生時には効果が限定的

メンブレン防水の具体的工法

アスファルト防水

日本で最も長い歴史を持つ防水工法で、溶融アスファルトとアスファルトシートを何層にも重ねて強固な防水層を形成します。JASS 8(防水工事)に準拠し、業界仕様は日本アスファルト防水工業協同組合の仕様も参照されます。
主な特徴: - 高い信頼性と実績 - 施工時の臭気や火気使用が課題 - 近年は常温施工可能な改質アスファルトシートも普及

シート防水(塩ビ・ゴム)

塩化ビニル製やゴム製のシートを接着剤や機械固定で施工する工法です。JIS A 6008(合成高分子系ルーフィングシート)に準拠します。
主な特徴: - 工期が比較的短く、均一な品質を確保しやすい - 塩ビシート:カラーバリエーションが豊富で意匠性に優れる - ゴムシート:伸縮性が高く下地の動きに追従しやすい - ジョイントの施工精度が防水性能を左右

塗膜防水(ウレタン・FRP)

液体状の防水材を塗布して防水層を形成する工法です。ウレタンはJIS A 6021(建築用塗膜防水材)に準拠し、FRPは各社仕様や工法資料に準拠します。
主な特徴: - 継ぎ目のない一体的な防水層を形成 - 複雑な形状の箇所にも対応可能 - ウレタン:軽量で既存防水層の上からも施工可能、改修工事で多用 - FRP:硬化が速く強度が高い、車両や人の通行がある場所に適する

✓ポイント

各工法には明確な得意分野があります。新築か改修か、露出か埋設か、交通荷重の有無、メンテナンス体制など、現場の条件を総合的に判断して最適な工法を選定することが、長期的な防水性能の確保につながります。

用途と環境に応じた最適な工法選択を

コンクリート防水は、建物の寿命を左右する重要な要素です。「躯体防水」と「メンブレン防水」は、防水に対する根本的なアプローチの違いを表しています。
躯体防水は構造体自体に防水性を持たせることで高い耐久性を実現し、メンブレン防水は表面の防水層によって確実に水を遮断します。重要なのは、どちらが優れているかではなく、プロジェクトの特性に応じて最適な工法を選択して下さい。
初期コスト、耐久性、施工環境、メンテナンス性、建物の想定使用年数を総合的に判断し、場合によっては両工法を組み合わせることも有効だと思います。
コンクリートは優れた構造材料ですが、内部の微細な空隙から水が浸入し、深刻な劣化を引き起こします。日本ザイペックスが世界100カ国以上で展開するコンクリート改質材は、こうした課題への実践的なソリューションです。
確実な防水計画の策定のためにぜひ、私たちも含めた専門家へご相談下さい。

トップに戻る