Xypex Press=100年コンクリートの未来=

  • トップページ
  • Xypex Press
  • 【連載】:細田教授に学ぶコンクリートの真実~現場の視点、学術の視点~ 第3回:英語の行き違いが大発見に!新旧コンクリートを一体化する水密性技術の舞台裏

【連載】:細田教授に学ぶコンクリートの真実~現場の視点、学術の視点~ 第3回:英語の行き違いが大発見に!新旧コンクリートを一体化する水密性技術の舞台裏

【連載】:細田教授に学ぶコンクリートの真実~現場の視点、学術の視点~ 第3回:英語の行き違いが大発見に!新旧コンクリートを一体化する水密性技術の舞台裏

横浜国立大学の細田教授をお迎えした特別インタビューの第3回。

今回は、コンクリート施工において避けて通れない「打継界面(新旧コンクリートの接合部)」の漏水リスクに焦点を当てます。

共同研究の過程で起きた「英語の行き違い」から偶然導き出された、1.5MPa(水圧150メートル相当)という驚異的な止水データの舞台裏と、今後の施工フローを大きく変える可能性について語り合います。

 

【連載】:細田教授に学ぶコンクリートの真実~現場の視点、学術の視点~ 第3回:英語の行き違いが大発見に!新旧コンクリートを一体化する水密性技術の舞台裏

打継処理施工状況

1:言葉の行き違いから生まれた「棚ボタ(?)」の大発見

<施工上避けて通れない「打継界面」の課題>

笹島

前回、界面についての無機系材料への期待感もお話いただいたのですが、我々が直面する界面として、施工上避けて通れない「打継の界面」があります。躯体防水として壁・床の「一体成型」を目指す上で、打継部はどうしても水の通り道になってしまう。ザイペックスでは打継処理を別途行ってますが(注1)、コストも労力もかかる。

そんな中、今回は先生と共に行っている打継界面の緻密性にザイペックスが与える影響へのご評価をお聞かせいただけますか。

少し経緯に触れると、過去に粉体タイプの「コンセントレート」を打継の界面に乗せて打継ぐ方法を試験して頂いた。イメージとしては良さそうですが、ザイペックスは水を利用して水和反応を活性化させ結晶増殖していく性質があるため、余計に水分を引っ張ってしまい実験ではあまり良い結果が得られていなかったという経緯がありました。

(注1:打継処理 壁床の打継部に目地を切って無機系急結セメント(パッチンプラグ)を充填 )

 

【連載】:細田教授に学ぶコンクリートの真実~現場の視点、学術の視点~ 第3回:英語の行き違いが大発見に!新旧コンクリートを一体化する水密性技術の舞台裏

博士論文の一部。XYPEXアドミックスを通常の倍添加し塗布した打継ぎ面が1.5MPa(水深150メートル相当)の水圧をかけ漏水が生じない結果を示す

※サムネイル写真は実験データをザイペックス協会員向けにご講話頂いた一幕

<偶然の勘違いがもたらした驚きの水密性データ>

笹島

ただ、学生さんとの英語のコミュニケーションでの行き違いで思わぬ良い結果を得てしまったことがありましたね(笑)

細田教授

そう、ザイペックスの方々の助言をいただきながら、打継目の水密性を高める方法を学生と一緒に研究してたのですが(前述の)コンセントレートを「あんこ」として打継界面に乗せる方法は、あまり良い結果ではなかった。反対に液体タイプのリキッドを界面に塗布してから打ち継ぐ方法は、水密性が極めて高くなるというデータを得ました。

それからもう一つ、「棚からぼた餅」かもしれないけど何らかの勘違いで、通常はセメント量の1%を生コンに混和して使うアドミックスを、通常の2倍(セメント量の2%)モルタルに混和して打継目に塗ってしまった。すると、その彼の実験では、リキッドよりもさらに水密性が高くなるという結果が出ました。

発見とか面白いアイデアって勘違いから発生することもあるので、突き詰めてみる価値はあるかもしれないですね。

だだ施工性はリキッドの方が優れているとは感じています。

 

 

 

2:過酷な水圧に耐えるデータとフィールドテストへの展望

笹島

そうですね、この件は近日中にフィールドテストも行って(通常は混和する)アドミックスを塗る施工性も含めて試してみたいです。

そして最初に報告を聞いた時は、我々も非常に驚きました。アドミックスをペースト状にして塗布した打継ぎ面が、1.5メガパスカル(MPa)、つまり水深150メートル相当の過酷な水圧をかけても耐え抜いたという結果は、設計や施工の視点から見ても実用性の高いデータです。

細田教授

とんでもない水圧(1.5MPa)ですよね。

笹島

それほどの水圧に耐えられる結果が出たのであれば、我々としても施工者としてぜひ使ってみたい、試してみたいという思いが強くあります。

もちろん、実際の現場で何かトラブルがあった際には、我々の方で全面的にバックアップや補修を行える体制を整えた上で、そういう条件のもとでフィールドテストをやらせていただく予定です。そのあたりの実証結果についても、後追いで先生にしっかりとご報告していければと考えています。

【笹島編集後記】〜第3回を振り返って〜

今回の共同実験では、本来は生コンクリートに混和して使用するアドミックスを、言葉の行き違いから2倍濃度でモルタル混和して打継面に塗布するという手順がとられました。しかし、その結果として1.5MPa(水深150m相当)の水圧に対しても止水性を維持するというデータが実証されたことは、材料の新たな運用可能性を示す有用な実証結果です。

これまでは打継部の処理に多大な労力とコストを要していました。もし、今回データが得られたリキッドのスプレー塗布やアドミックスペーストによる打継処理を、構造物全体のプロジェクトフローへ合理的に組み込むことができれば今後の躯体防水の現場における省力化やコスト削減、品質向上に大きく貢献できるのではないかと期待しております。

【連載】:細田教授に学ぶコンクリートの真実~現場の視点、学術の視点~ 第3回:英語の行き違いが大発見に!新旧コンクリートを一体化する水密性技術の舞台裏

■ 対談者プロフィール 細田 暁(ほそだ あきら)

横浜国立大学大学院 都市イノベーション研究院 教授

ザイペックス協会 技術顧問

 コンクリート工学、持続可能な社会インフラシステムの構築を専門とし、構造物の長寿命化や維持管理に関する研究に従事。2011年の東日本大震災以降は、東北の復興道路をはじめとする多くのインフラプロジェクトにおいて、産官学の共同連携による耐久性向上対策を先導している。土木学会等における要職を歴任し、現場に即した実践的なコンクリート品質管理の普及に尽力している。

トップに戻る